EEE会議(プルトニウム利用の基本的な考え方:原子力委員会の狙い).....................................2003.8.6
 
本日(8/6)の新聞報道でご覧になったように、昨日(8/5)原子力委員会は、「核燃料サイクルについて」及び「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」という2つの文書を発表しました。前者は171ページの長文で包括的な内容ですが、後者は2ページだけで重要な内容なので、添付ファイルで全文をお目にかけます。(両文書の全文は、原子力委員会HPの次のサイトで閲覧可能です。http://aec.jst.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2003/siryo25/)
 
2番目の文書の概要は、新聞でも報道されていますが、とくに朝日新聞(8/5朝刊)では、「六ヶ所再処理工場の操業について、原子力委員会は、使用済み燃料を再処理するための前提条件として、プルサーマル計画を発電所ごとに立案するよう電力会社に求める方針を決めた」とした上で、この決定はプルサーマル計画を進めることでプルトニウム利用を図るのが狙いだが、「しかし、地元自治体の反対などから計画が出せない場合には、05年7月に操業予定の再処理工場の運転が延期されるなど、国の核燃料サイクル計画が見直しを迫られる可能性がある」と論じております。読売新聞など他の主要紙は別の報道の仕方をしています。
 
そこで、小生、早速原子力委員会事務局にこの点を糺しましたところ、朝日新聞のように「条件として」というのは言い過ぎで、原子力委員会としてはそこまでは言っていないということでした。しかし、世間では朝日新聞的な受け止め方をする人も多いと思われ、いずれにしても、原子力委員会は国民に対し真意をもっと分かり易く説明する必要があるのではないかという気がします。
 
とくに小生として気になるのは、この決定なるものが、何を本当に意図しているのか必ずしも明確でないという点です。(1)プルサーマル計画を各電力会社に明示させることによって同計画の実施を促進しようとしているのか、(2)六ヶ所工場の操業開始を容易ならしめようとしているのか、(3)「余剰プルトニウムを持たない」という国際約束を履行しようとしているのか、(4)青森県や原発所在県に対して
原子力委員会としての積極姿勢を示そうとしているのか、等々。おそらく原子力委員会としてはこれら総てのことを意図しているのかも知れませんが、実際にどこに重点が置かれているのかが明らかでなく、その真意が国民にはっきり伝わらなければプラスの効果は生まれないのではないかと懸念するわけです。
 
そこで、原子力委員会の意図が奈辺にありやをただ忖度するのではなく、この決定が日本の核燃料サイクル政策実現にどういう効果(インパクト)を持ち得るのか、持ち得ないのかについて、いろいろな角度から議論をしていただければ、と思います。これはとりもなおさず、これまで当EEE会議で展開してきた核燃料サイクル・オプション論争をさらに一歩前進させることにつながると思いますので、どうか積極的にご所見を発表していただきたいと存じます。匿名(ハンドル)での配信もOKです。--KK
 
 
PS:
因みに、当EEE会議では、近くホームページ上に「会員専用ページ」(パスワードつき)を開設し、会員だけで突っ込んだ意見交換(掲示板方式による)を行っていただきたいと考えており、この議論もできればその場に移したいと考えております。具体的な議論の方法については近日中に別途会員各位に限りご案内いたします。